ヒッピーエコライフをビジネスにする流れ
ジャーナリスト
(記事要約) Zitty 2月号より
アメリカで言うところのLOHASの流れが、ドイツにもやってきた。
元々政治的な運動であったドイツのエコライフが、自然界に良いことをするというよりは、お金儲けを主目的とするものに変化しつつある。そのうち有名人が競ってオーガニック化粧品の宣伝をし、自然にやさしいことをファッションとする動きが、ドイツにも旋風するかもしれない。
後進国における、未成年の強制労働を止める動きであるフェアトレード製品を販売するメーカーにおいても、エコという思想のためというよりは、ビジネスとしての成功を狙う方向性として理解されつつあるのは、ドイツにとって新しい動きである。実際、こうしたエコライフの一般化革命は何をもたらそうとしているのだろう。
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(解説)
こうしたドイツにおけるオーガニック革命が、LOHASが持つファッション的要素を含んでいるとは思えない。
確かに近年、ドイツではオーガニック製品に手を出す客層に変化が見られている。
これまでオーガニック製品取り扱い店(Bio Ladenビオラーデン)に出入りしてきたのは、70年代のヒッピー世代に端を発するドイツのエコ愛好家。多くはどちらかと言えばアッパークラスのホワイトカラー群で、そこにオルタナティブな社会に目利きする若者が混ざっている。
元々階級の差が余り見られないドイツでは、大きな区別はないものの、それでも子供が沢山いる家庭、平均所得以下の収入しかない家庭にとって、割高のオーガニック製品は手が届かない。
そればかりか、エコ愛好家が自然と人間の調和について非日常的な神秘主義に話題を転換しだせば、一般家庭には理解しがたいタダのイデオロギーでしかなかった。その上、オーガニック製品は、ビオラーデンでしか見当たらないこともあり、興味を持たない限り触れる機会さえない。
こうしたエコライフをめぐる、階級闘争を解消しつつあるのが、ディスカウント・スーパーにおけるオーガニック食品の販売である。一般的なスーパーと比べて安価な製品を販売し、時には電化製品のセールさえするディスカウント・スーパーは、ドイツ国内に幾つか見られ、大家族の大きな味方だ。
こうした大型スーパーが、この数年間で一斉に有機食品を売り出し始めた。値段も有機食品でない製品に比べてほんの少し高い程度。こうしたエコ階級革命によって、自然や健康に対する意識が、一般社会に浸透しつつあるのが現状だ。
また、有機製品を一般化することで解決される問題点がもう一つある。
今まで特別な客層のみをターゲットとしてきたビオラーデンでは、商品の回転が悪く、野菜や果物などの鮮度があまり良いとはいえなかった。どう見ても小ぶりで、茶色くなった商品に、高い値段を払うのはどうしても腑に落ちないものである。
ところが、有機製品に対する興味を一般消費者にまで拡げることで、売り上げも上がり、新鮮な商品が常に入荷されるようになったのである。外観も魅力的な食品が増えれば、今までオーガニックに縁のなかった人も、一度買ってみようという気になると言うものだ。
これをきっかけに、むしろエコライフが庶民に浸透し、ライフスタイルを超え、オーガニック商品のレベルが一般的になるかもしれない。
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