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安全基準が甘いブラジル国内販売用乗用車

 

<記事要約>

グローボ紙2007年2月23日(O Globo ブラジルの日刊紙)より

ブラジル消費者保護協会「Pro Teste」は、ブラジルで販売されている乗用車の重大な欠点について警告した。

ブラジルで製造された同じ乗用車でも、ブラジル国内販売用よりも、ヨーロッパ輸出用の方が、安全装備を搭載しているという。

ヨーロッパ諸国に輸出される乗用車には、エアーバックと、衝撃が加わると同時にベルトロックし、上半身を拘束するシートベルトが、基本安全装備としてとりつけられている。しかし、ブラジル国内で販売される乗用車の場合、この2つは「オプション」扱いになっており、乗用車の価格をアップさせる装備となっている。


<解説>

ブラジルの、2006年通年の乗用車の累積販売台数は、192.8万台に達した。これは2005年に対して12.4%の増加であり、97年の過去最高販売台数に迫る実績である。

2006年の政策金利の大幅な引き下げ、また新車販売台数の82%を占めているフレックス車(ガソリンとアルコール両方で走る車)の普及が販売の増加に貢献している。

また、ブラジルは世界有数規模のアルコール生産国だ。環境にやさしいとされるアルコールの世界的な需要拡大に伴い、世界の大手自動車メーカーのブラジルへの投資は加速している。

そんな自動車ブームのなか、国内で販売される乗用車の「オプション」に注目が集まっている。自動ロックシートベルト(基本ベルトは自動ロックなしのベルト)は、その第一オプションだ。

例えばフォルクスワーゲンのFoxは、ヨーロッパでは100%がエアーバックつきで販売されているが、ブラジルでは2.8%だ。自動ロックシートベルトとエアーバックなしでは販売しないヨーロッパ、この2つの装備が販売に義務付けられている合衆国と比べ、対照的だ。

オプションである基本安全装備にかかる税金の高さを批判する声も高まっている。例えばFox Cityの新車は、ブラジルでは平均3万レアルで販売されている。オプションの基本安全装備(シートベルト、エアーバックを含む)は、6千レアルである。

消費者保護協会「Pro Teste」は、フォルクスワーゲンのFox車を使用して、クラッシュテストを行った。ブラジル国内販売用の乗用車の運転手と、助手席搭乗者が、頭部と胸部に、ヨーロッパ販売用車よりも大きな打撃を受けたことを発表し、議論を呼んでいる。

日本では、ハイテク技術を駆使した安全装備を搭載する乗用車が増えており、ブラジルの議論は、まさに時代遅れともいえよう。しかし、消費者保護協会を中心に、ブラジル政府に対して、税金を下げる運動と、安全装備を義務化する運動が今後広まっていくだろう。

関連サイト
「A Pro Teste」のクラッシュテスト
http://www.proteste.org.br/map/src/442761.htm


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