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Googleのブックプロジェクトに、ドイツで初めて参加図書館が名乗り出た

●今に無くなるマンモス図書館の検索カード

<記事要約>

図書館や、出版社から直接、本を提供させて、スキャンし、Googleサイト上で検索できるプロジェクトが論議をかもしだしているが、ドイツでも、バイエルン国立図書館が、そのプロジェクトへの参加を名乗り出た。これにより、当図書館に管理されている100万冊以上の本が、デジタル化されることになる。

現在アメリカで問題となっている著作権であるが、当プロジェクトでは、著作権が無効になった図書のみスキャンすることとなっている。出版社から提供される本は、全ページを公開することはできないため、部分的にのみ利用可能だが、著作権が切れた図書館の本なら、前頁オンラインで読むこともできれば、ダウンロードもできる。つまりその対象となるのは、作者が少なくとも70年前になくなり、コピーライトが無効になったものである。(『Stern』2007年3月6日)


<解説>

現在Googleの本検索プロジェクトには、多くの出版会社と、オックスフォードやハーバードの14の図書館が参加している。これにかかるコストは全てGoogleが支払い、出来上がったデジタルデータは図書館の手にも入るため、コストの減少だけではなく、図書館の予算ならば15年以上かかることでも、一年で完成してしまうという、スピードアップの利点も見られる。

バイエルン国立図書館長グレーベル氏によれば、図書館の多くの古書が、印刷物であるためいつかは壊れてしまう危険があることに対し、デジタル化したものなら安全に保管することができると主張。さらには、デジタル化のための雇用数も増え、バイエルン州に貢献するとも述べた。

また、こうしたプロジェクトは、研究者には夢のような世界だ。例えば、当図書館に眠っている、グリム童話、シラーやゲーテの原本をオンラインで読めるだけでなく、作品中をキーワード検索できるようになる可能性もある。

 「全人類の知」に、誰でも、何処からでも、いつでも、触れることができるようにする、というこのプロジェクトこそ、「知の民主主義」であると、Spiegel誌(3月19日発行)も述べており、まさに印刷技術が普及した時代と同じ意味合いを持つことを強調している。

同時にこうした動きは、今まで公的機関が管理してきた重要図書を、企業の手に渡すことを意味し、それに対する抵抗もかなり大きい。今のところデジタル化された最古の図書はシラーの「群盗」(1871年)だが、こうした古典書を、私企業がいつか独占してしまうのではないか、と不安視されるのは、この高速度のGoogleのスキャン作業を見れば、当然かもしれない。

原文リンク:http://www.stern.de/computer-technik/internet/:Buchsuche-Bayerische-Staatsbibliothek-Google/583981.html


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