Entry

日本語より中国語を学ぶドイツの小中学生

<記事概要>

中国経済の発展にともない、ドイツの学校でも、第二外国語に中国語を取り入れるところが増えてきた。バーデン・ヴュッテンベルク州のフリードリッヒ・シラー・ギムナジウムでは、計120人が、中国語を学んでおり、中国語講師をもう一人雇用しようかと検討中である。

こうした動きはドイツだけではない。フランスでも既に数百人の中国語講師が働いており、イギリスの私立学校では、中国語が必須のところもあるほどだ。

もちろん第二外国語としての中国語といっても、義務ではなく、選択である。ラテン語やフランス語と共に、子供たちが進んで学ぶ新しい動きがでてきたようだ。


<解説>

全般的にアジアブームが広がりつつあるヨーロッパだが、大学で日本語学を学ぶ学生の増加とは比べ物にならないほどの勢いで、ドイツでも中国語が流行っているようだ。

日本語の学習者と違うところは、大学ではなく、小中学校の子供たちである点だ。低学年から漢字に慣れ親しむことで、将来、経済界で活躍することができるのではないかと考える親たちも少なくない様子だ。

この動きは義務教育の枠だけでなく、個人が中国語を学びに学校やクラブに通っているケースも多く、進んで子供たちが、今まで遠い存在であった国の言葉を学んでいるようだ。

言語だけではなく、中国の学校に子供たちを留学させるシステムも増えており、義務教育の卒業試験に、中国語を選択することも可能だそうだ。

ところが、子供たちの間で急速にでてきた、中国語ブームのスピードについていけないのは大人たちであり、まずはドイツ語の教材のバリエーションが少ないため、英語のテキストを使わざるを得ず、そのうえ国の教育システム側の受け入れも、まだまだ整っていない。

例えば、ドイツで語学教師になるには、大学で言語学の教職コースを受けるのが一般的だが、中国語にはそうしたコースがないなど、将来、中国語能力で経済界での活躍は見込めても、教師としての職業枠では将来がない。

ドイツはPISAの調査で、子供たちの教育レベルの低下が指摘されてから、教育システムを英米化しようとしている傾向が著しい。それは青少年の学校教育だけではなく、大学改革にも大きな波紋を呼んでおり、例えば今までならば、大学ではマスターか、ディプロームを取得するのが普通であり(日本の修士号とほぼ同等)、学士制度はあまり定着していなかった。

ところが、ここ数年、修士号を長い時間かかってとらせるのではなく、英米諸国のように短期間で学士号をとらせ、よくできる者だけが先にすすみ、現場で役に立てる人材を増やそうという考えがでてきた。

今までドイツの教育システムの特徴でもあった、ゆったり考えて学ぶことより、競争に打ち勝てるように育てるという思考が強くなってきているのである。

「中国語を3年習えば、600語が学べて、一般会話ができる。スペイン語なら其の倍、学習できますよね。」中国語学習はある意味、できる生徒がさらに自分たちの能力を伸ばすための挑戦場として見られている傾向があるそうだ。


  • いただいたトラックバックは、編集部が内容を確認した上で掲載いたしますので、多少、時間がかかる場合があることをご了承ください。
    記事と全く関連性のないもの、明らかな誹謗中傷とおぼしきもの等につきましては掲載いたしません。公序良俗に反するサイトからの発信と判断された場合も同様です。
  • 本文中でトラックバック先記事のURLを記載していないブログからのトラックバックは無効とさせていただきます。トラックバックをされる際は、必ず該当のMediaSabor記事URLをエントリー中にご記載ください。
  • 外部からアクセスできない企業内ネットワークのイントラネット内などからのトラックバックは禁止とします。
  • トラックバックとして表示されている文章及び、リンクされているWebページは、この記事にリンクしている第三者が作成したものです。
    内容や安全性について株式会社メディアサボールでは一切の責任を負いませんのでご了承ください。
トラックバックURL
http://mediasabor.jp/mt/mt-tb.cgi/123