みんな「お手本」を探している
株式会社ジャパンライフデザインシステムズ 代表取締役社長
■ ワンランク上の「モデル」はどこに?
優れたサンプル、モデルを探すことが、消費を動かすエンジンになる時代が来ました。つまり、ライフスタイルの「お手本」になる人、文化、行動、テーマなどを顧客は探しているということです。
特に今、探し求められているのは、ワンランク上のハイエンド・モデル。消費は自己表現ですから、一つ上のテーマやライフスタイルを自分のものにすることが、すなわちワンランク上の自己存在証明になるということです。
だから、今、顧客は、次なる「お手本探し」の旅に出ているのです。いろいろ見聞し、より上のテーマやスタイルを学習し、先行している「お手本」に自分を間に合わせるようにリセットしていこうとしているのです。
生活は、見つけた「お手本」に自分をランクアップさせる学習であり、その結果、物が売れているといっていいでしょう。先に学習テーマありき、その結果の消費なのです。
■ お手本はイタリアと江戸?
今、日本人のライフスタイルの「お手本」になろうとしているのは、イタリアと江戸時代のようです。どちらも生活に対して肯定的なライフスタイル観を持ち、人生を積極的に楽しもうというポジティブなライフカルチャーが共通点です。
イタリアはファッションと食だけではなく、ラテン系の陽気な生き方、おしゃれ感覚などがお手本です。最近創刊された50代の女性を対象とした雑誌『エクラ』(集英社)は、「すべての快楽はイタリアにあり」と銘打った、イタリアライフスタイルの大特集でした。
江戸もブームの気配です。前後への影響も合わせれば300年といっていい超ロングスパンの文化を形成した江戸時代は、戦後60年を越えた今の平成の世と大きな共通点があります。それは「平和」でしょう。平和な時代がいかに急速に成熟するか、東京などの都市文化を見ればよくわかります。やはり戦後一度も戦争がなかったというのが大きい。
地球文化の中から、歴史の中から、さらには今、活躍している人の中から、「お手本」となるサンプル&モデル探しの時代になりました。
■ 波紋が創りだす市場
女性のファッション誌をみれば、読者モデルからハリウッド女優まで、「お手本」の大特集です。
それはティーンにまで及んでいて雑誌『ELLE』 5月号では、セレブのボディキープ術に学ぼうということで、デミ・ムーア(44)、シャロン・ストーン(49)、モニカ・ベルッチ(42)、ニコール・キッドマン(39)など、中高年女優のアンチエイジング法を紹介しています。マドンナ(48)は20年かけて今のボディを作ったとか。
このお手本傾向はティーンにまで及んでいて、制服着こなしサンプルは「セレブ女子高生」です(『Cawaii! 』5月号)。略称「セレ女」を代表する高校生の制服着こなし術を紹介。
それぞれのタイプを「いやし系」「流行敏感系」「メイクの達人系」「エレガント系」とネーミングにて、お手本選びがしやすいようにしています。
「いやし系笑顔の正統派アイドルセレブ」のなつきセレクトは、胸元の真紅リボン、ベビーピンクシャツ、純白カーディガン、優等生チェックスカート、スリム黒ソックス、茶ローファーなどだそうです。
ファッションだけに限らず、旅の仕方から料理の仕方、健康方法から散歩の仕方まで、いまやすべてのジャンルに求められているのは「お手本」です。言い換えれば、優れた「お手本」を提示することにより、そこにマーケットを発生させることも可能だということです。
まず注目されるコアを創りだすこと、そこから波紋が広がっていくのが、情報の時代の市場なのです。
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