Entry

米国ブログネットワークFederated Mediaがブログスフィアをリードする

ブログネットワークFederated Media Publishing(http://www.federatedmedia.net/)によって、米ブログスフィアがますます賑わっている。有力ブログが既存メディアに匹敵するほどの広告収入を得る時代が到来した。

Federated Media Publishingとは、有力ブロガーのサイトを集め、広告枠を販売するブログネットワークビジネス。ブログの広告営業やプロモーションを行い、広告料の60%をブロガーに還元する仕組みだ。ワイヤードマガジンの共同創刊者であり、「ザ・サーチ」を執筆したジョン・バッテル氏によって、2006年3月に設立された。

Federated Media には、現在110の人気サイトが参加しており、総ブログアクセス数は月3億6500万ページビュー。バッテル氏は米ビジネスウィーク誌で、2006年度の年間売り上げが1000万ドル(約12億)を超えたと発表し、さらに2007年には5倍の売り上げを目指すと豪語している。サービスが開始されてから約一年程であるにも関わらず、Federated Media の勢いは目覚しい。


●Federated Media のサービス

Publishing(出版)というくらいだから、出版社のようなビジネスも行っているのかと想像されるかもしれないが、そうではない。通常メディアが担ってきた記事内容の決定や、校正、修正、といったいわゆる編集業務は行わず、内容のすべてをブロガーに任せている。つまり執筆者独自の視点を発信するという、ブログの特質をそのまま生かしているのだ。

Federated Media が請け負うのは、各ブログのプロモーションと広告販売のみ。ブログの概要をはじめ、月間ページ読者数、ウェブ上のリンク数、読者の男女比、年齢構成、平均年収、職業概要など、細かい分析を広告主に提供する。

個人でブログを運営しているブロガーにとっては、ブログ執筆だけでも時間のかかるものだ。まして広告営業に関しては全く素人である場合も多い。ブロガーはFederated Media に加入することで面倒なプロモーションや広告枠販売などの手間が省け、コンテンツ作成に没頭することができる。同時に、有力ブログを集めたネットワークへ参画することにより、新たな読者や広告主を取り込む相乗効果が期待できるのだ。


●人気ブログの集結

現在登録ブログ数が最も多いカテゴリーがテクノロジー関連。次いでメディア/エンターテイメント、ビジネス/マーケティング、育児、トラベルなどが続く。テクノロジー関連のDIGG, Gaping Void, BoingBoing, TechCrunchなどを筆頭に、女性読者に人気の養育ブログDooceなどの有名なサイトが揃う。月間読者数が一億人を超えるサイトまで参画した、驚くほど豪華なラインナップである。

人気ブログといっても、参加ブロガーのプルフィールは著名人から一般人まで様々である。 メディア批評ブログ「Buzz Machine」の執筆者は、メディア専門家として有名なジェフ・ジェイビス氏。IT系人気ブログBoingBoingの共同執筆者4人は、いずれもニューヨークタイムズや、CNN、ワイヤードマガジンなどメジャーなメディアに参加するIT系プロライター達である。

一方、育児ブログで子育てや家庭での日々の出来事を綴るのは、専門家でも著名人でもない一般主婦ブロガーや父親ブロガー達だ。誰でも情報を発信することができるというブログの特徴がよく表れている。


●これからの良いブログとは

ブログに広告料が発生し始めた今、「ではどのようなブログを書けばいいのか?」と気になる方も多いのではないだろうか。 広告収入のある人気ブロガーを抱え、大変盛り上がるアメリカのブログ界だが、日本との決定的な違いは、ブログの内容にあると言われている。

アメリカでは、新聞記事よりも広く深い知識と見解をもつ、専門的な高品質ブログが存在する。ブログの読者及び、業界への影響力もある。しかし日本のブログは、私的なエントリーが中心。ブログをネット上の日記として利用している場合が多い。 バッテル氏は、米ウェブサイト「フォークソノミー」のインタビューにおいて、良いブログの共通点は、ブログが扱うトピックについて、コミュニティーが活気づいていること。

またブロガーが、読者のコミュニケーションをうまく導くリーダーの役割を果たしていることだと語っている。さらに、質の高い記事を頻繁にエントリーしているかどうかも鍵であるという。 個人が情報を発信できることで話題となり急速に浸透したブログだが、とうとうブログで広告収入を得るというビジネスモデルまで確立された。日本もアメリカのようにビジネス面で成功するブログが増えていくのであろうか。ブログスフィアは今、分岐点を迎えている。


  • いただいたトラックバックは、編集部が内容を確認した上で掲載いたしますので、多少、時間がかかる場合があることをご了承ください。
    記事と全く関連性のないもの、明らかな誹謗中傷とおぼしきもの等につきましては掲載いたしません。公序良俗に反するサイトからの発信と判断された場合も同様です。
  • 本文中でトラックバック先記事のURLを記載していないブログからのトラックバックは無効とさせていただきます。トラックバックをされる際は、必ず該当のMediaSabor記事URLをエントリー中にご記載ください。
  • 外部からアクセスできない企業内ネットワークのイントラネット内などからのトラックバックは禁止とします。
  • トラックバックとして表示されている文章及び、リンクされているWebページは、この記事にリンクしている第三者が作成したものです。
    内容や安全性について株式会社メディアサボールでは一切の責任を負いませんのでご了承ください。
トラックバックURL
http://mediasabor.jp/mt/mt-tb.cgi/173