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自立心の強い女性消費者が求める商品

<記事要約>

女性をターゲットにしたマーケット拡大のために、ドイツ各社は骨を折っている。証券会社VMRは、女性顧客を対象に、ファッション業界の会社、オムツ製造業者、化粧品販売会社の株購入を提案するキャンペーンを実施したが、誰も見向きもしなかった。94%の女性が、子供や男性パートナーよりも、まずは経済的独立を望んでいるこの社会において、女性である性を意識した販売方法ではうまくいかなくなってきたようだ。(Spiegel2007年5月7日号)


<解説>

ファッションものや、可愛らしさだけを追求したもの、チョコレートや、香水だけでは、この頃の女性消費者のハートは獲得できない。

ダイムラー・クライスラー幹部のヴェーバー氏によれば、「女性専用の自家用車は、男性にも女性にも人気がありません。」とのこと。ここで言うところの女性専用自家用車とは、女性好みの(と思われている)色や、形をしている車のことである。

それに対し、女性消費者が本当に求めるのは、こうした外観ではなく、機能なのだ。20年前とくらべて、自家用車を購入する女性が20%も伸びた今日、彼女たちが求めるものは、男性と同じく性能の良い、速い車だ。

こうしたことは、スポーツ用品、大工用具にも言えるらしい。300グラムの軽い電気ドリルをBosch(ボッシュ)が販売すると、母の日の贈り物人気No.1になったどころか、電気製品売り上げトップに輝いてしまった。

こうして女性が、今まで需要の少なかった製品に手を出し、男性と同様高品質を求めると同時に、男性が、ほとんど女性にしか需要の無かったものを購入するようになってきた。こうした現象は、男性化粧品に見られることは有名だが、このところドイツの電化製品製造業者であるBauknecht(バックネヒト)では、男性客のために、洗濯講習を無料で提供しているらしい。

日本社会で、男性が中性化していると言われて久しいが、どうもこうした消費に関する性差の減少は、ドイツでも見られているらしい。実際ドイツの女性で工具を使ったことのある割合は高く、自転車のパンクを修理できる女性も珍しくない。乗り物に関しても、自家用車どころか、公共の交通機関の運転手に女性の割合が比較的多いこの社会では、この手の商業戦略は大きな意味を持つだろう。


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