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ニューリアリティは「仮装(仮想)」から生まれる

  • 株式会社ジャパンライフデザインシステムズ 代表取締役社長
  • 谷口 正和

仮装を英語で言えば、costume、maskedなどになります。仮想現実社会といわれていますが、仮想どころか「仮装」の時代ということが出来ます。ますます強くなる個人の変身願望とは、1人の人間がいくつもの人間を生きる時代、つまり1人10色の時代だからこその産物です。

東京の女子の間で流行っているのは「デカ目」化粧法。109店員や目ヂカラ芸能人にあこがれる女子高生が、マスカラを3本使い、下まぶたの粘膜にアイライン、カラーコンタクトや付けまつげ等、様々なアイテムを複合的に駆使して、自分の目を何倍にもみせるメイクだとか(cawaii!! 8月号)。

爪を見れば、これも実際の長さの3倍くらいのド派手のネイル。まるでキャンバスに描き込んだ抽象画のようです。『ネイル・ヴィーナス』というネイル専門誌まで発行されています。私の会社は渋谷にありますが、109前あたりの渋谷の街は、まさにコスチューム・パレード、毎日が仮装行列のようです。

このような時代背景を受けて、仮装願望を満たす商品が次々と出ています。

男性の姿勢を正すハイテク蜘蛛の巣が発売されました。アディダス「テックフィットパワーウエブ(トップス9345円、ボトムス1万395円)」 です。蜘蛛の巣状の「TPUパワーバンド」が運動時の筋力をアップさせるハイテクウェア。上に服を着ても目立たず、姿勢を正させる感覚はビジネスマンにもおすすめだそうです(DIME 7/17号)。「巨人の星」の大リーグ要請ギプスを思い出させます。

女性のボディラインを“魅せる”下着が人気です。40代女性がお気に入りの服を着こなすために身に付ける下着として、バストを豊かに仕上げるブラジャーや、脇からウエストのたるみをカバーするインナー、理想的なヒップを作る、強力シェイプガードルなど。補正力だけではなく着心地の良さもポイントだそうです(STORY 8月号)。

21世紀の社会を変える最大の技術は、たぶん「バーチャル・リアリティ」でしょう。はじめはたどたどしかったバーチャル・リアリティ技術も、あっという間に進化を遂げ、従来では考えられなかったような驚異的な映像世界を私たちの眼前に繰り広げています。

最近プラネタリウムが、CGを中心とするバーチャル・リアリティ技術で人気を呼んでいるそうです。かつての幻燈的映像とはまったく異なる、驚異的にリアルな宇宙映像が目の前に繰り広げられるのです。ちなみに夜の部の60%はカップルだとか。映画もうかうかしていられません。というよりも、私の推測では、たぶん未来の映画館はプラネタリウムスタイルでしょう。

社会と文化が成熟すれば、仮装性は高まるか。

間違いなく高まります。

すでに男性がピアスをつけたり髪を茶色に染めたりするのは当たり前のおしゃれになっています。いずれ男性もマスカラで目をデカ目にする、アイラインを引く、カツラをつける、ハイヒールを履く、口紅を塗るなどのオシャレも、当たり前になるでしょう。欧米で言えばルイ王朝の時代、日本で言えば平安の時代、つまり貴族文化の時代は「仮装」「変装」の時代です。オシャレには限度がないのです。必要なものには限度がありますが、不必要なものには際限というものがありません。なんと面白い時代になったことでしょう。

戦後60年とちょっとで、日本の文化はここまで成熟しました。情報の時代の変化のスピードには、驚異的なものがあります。

仮装=仮想を軸とするバーチャルリアリティ・カルチャーは、まさに想像力と創造力の両輪によって、とんでもないマーケットを現出させる可能性があります。「仮想」が現実を変える、ニューリアリティは「仮装」から生まれる。

 

■関連情報

<プラネタリウム>

○ソニー・エクスプローラサイエンス  東京・お台場でプラネタリウム体験
http://www.sonyexplorascience.com/planetarium/index.html


○「満天のココがすごい」─プラネタリウム「満天」(東京・池袋)
http://konicaminolta.jp/manten/introduction/001.html


○TODAY INFORMATION 2007/07/24
「プラネタリウム!最近はブームになっている?」
http://todayinformation.blog.shinobi.jp/Entry/37/


○机上のクーロン 「メガスター(前編)」2007/02/07 
http://air.ap.teacup.com/whistle_a_tune/67.html


○株式会社五藤光学研究所 http://www.goto.co.jp/

 プラネタリウム、大型映像、天体望遠鏡製造のトップメーカー。
  全天周フィルム映像(アストロビジョン)や、3Dデジタル映像装置(バーチャリウム)を他社に
  先駆けて開発、発表する他、機器設備の能力を活かした映像コンテンツ製作も行う
  “ドーム空間のトータルクリエーター”である。

    全天デジタル映像システム「VIRTUARIUM®2」
   http://www.goto.co.jp/products/virtuarium2-j.html


<3Dイリュージョン・アート>

○鳥獣戯画 「JULIAN BEEVER 」 2006/05/23
 イギリス人「チョーク・アーティスト」ジュリアン・ビーヴァー氏の3Dイリュージョン・アート。
http://artshrine.blog9.fc2.com/blog-entry-303.html


○GIGAZINE  2006/12/22
 「路上に描かれた立体的なトリックアート」(JULIAN BEEVERの作品)
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20061222_pavement_drawing/


○地面に「3D」の画像を描く芸術家 JULIAN BEEVER公式サイト
http://users.skynet.be/J.Beever/


○How the “Pavement Picasso” Does It(YouTube映像) 04:17
 JULIAN BEEVERの3Dイリュージョン・アート制作過程
http://jp.youtube.com/watch?v=hfn8Dz_13Ms


<ネイル>

○ネイルVENUSブログ「7/23 2007/AUTUMN号発売!」2007/07/17
http://blog.livedoor.jp/nailvenus/archives/50473201.html#trackback


○ネイル研究所 「解剖、ネイリスト Vol.3 岩井智栄先生」 2007/07/19
http://nailexpo2007.jugem.jp/?eid=27#trackback


<仮想現実>

○中島かつおの「子供いらない」 2006/02/09
「ネットはいつからリアルの仲間外れになったのだろうか」
http://blog.goo.ne.jp/mid_knight/e/269347c279262e53dfb3c7d8f60179a4


○DEVELO・・Blog 「仮想現実の世界」 2007/07/10
http://www.develo.jp/blog/develo/2007/07/post_35.html


○MediaSabor 2007/07/26
 Second Life(セカンドライフ)利用者数増加が目立つドイツでの貧弱な報道内容 
http://mediasabor.jp/2007/07/second_life.html


○バーチャルとリアルの間 2007/07/10
 「空想世界とバーチャルリアリティ」
http://blogs.yahoo.co.jp/jinsato_robot/12395464.html


○青とエンヂ  2007/07/01
 浅枝 大志・著『ウェブ仮想社会「セカンドライフ」 ネットビジネスの新大陸』書評
http://crimsonblue.blog80.fc2.com/blog-entry-220.html


○WEB2.0とかに踊らされる人々を生暖かく見守るブログ
 「セカンドライフ面白いか?」 2007/03/23
http://sakjgm.jugem.jp/?eid=127


○いつもグラグラ 「仮想と現実、ふたつの世界で生きること」 2007/06/13
http://apocalypse.blogzine.jp/guragura/2007/06/post_6218.html


○アクセスアップの大技小技いろいろ 「Web2.0以降の革命(1)」2007/06/25
http://happielife.blog82.fc2.com/blog-entry-65.html


○AManTO天然芸術研究所
 「仮想現実の最大手、ついに日本上陸!」 2007/03/09
http://blog.goo.ne.jp/amanto/e/84d04d6f1ad0ddfaf575e2385c73ba4e


○hiniclip WEB2.0 マーケティングのアイデアノート 2007/08/02
 「 Web3.0型社会 リアルとネットの進化、融合、淘汰」
http://clip.hiniku.com/?eid=390511


○CNET  再び『マトリックス』 2004/08/31
http://blog.japan.cnet.com/lessig/archives/001571.html


○toxandriaの日記 2007/03/19
 映画『マトリックス』が暗示するわが国のアーカイブの脆弱性
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20070319


○CONCEPT.「映画マトリックスと空海さんの意外な関係」2005/05/12
http://www.concept-stars.com/d064/mt/archives/000486.php


○話題のナレッジベース  2007/07/13
 「セカンドライフ 日本語:Second Life マトリックス?仮想世界!それは第2の人生か!?」
http://www.yamaguchi.net/archives/004434.html


○Biz.Plus 山崎秀夫 2007/07/30
 「消費前エクスペリエンスの活用が盛り上がるセカンドライフ」
http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/eigyo/rensai/yamazaki.cfm


○Biz.Plus 山崎秀夫 2007/06/18
 「タテ?ヨコ? セカンドライフで成功するマーケティングアプローチ」
http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/eigyo/rensai/yamazaki.cfm?i=20070614eb000eb


○ITmedia News 「Ask.jpが携帯向け3D仮想空間」 2007/07/31
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0707/31/news106.html


○ITmedia News 「HISがSecond Lifeに進出」 2007/06/14
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0706/14/news072.html


○ITmedia News  2007/06/06
 SBIが「仮想世界」に参入 現実の金融と融合
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0706/06/news114.html


○SBI Robo 2007/04/27
 「東京湾に東京0区構想-SBIの仮想世界 Cyber MEGACITY」
http://www.sbirobo.com/2007/04/sbi_cyber_megacity_1.html


○WIRED VISION 2007/05/29
 『Second Life』似の仮想世界をSOAトレーニングに活用
http://wiredvision.jp/blog/epicenter/200705/20070529130920.php


○WIRED VISION 2007/06/22
 MS社、映画『ブレードランナー』的な仮想現実技術を披露
http://wiredvision.jp/news/200706/2007062223.html


○WIRED VISION 2007/05/28
 「3Dの像を作成できる未来のプリクラ」
http://wiredvision.jp/news/200705/2007052822.html


○WIRED VISION 2007/05/22
 3Dモデルたちが歩き回る「多感覚刺激型キャビン」
http://wiredvision.jp/news/200705/2007052222.html

 


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