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卒業旅行は年々増えている!?  

 卒業旅行の季節である。旅行会社の店舗には、学生向けの格安ツアーパンフレットが並んでいる。

 この時期に合わせてJTBは、Webアンケートで「卒業旅行」について調査した。
それによると、卒業旅行に行ったことが「ある」が63%で、「ない」が37%。年代別でみると、10―20歳代は80%以上、30歳代は70%、40歳代は60%と、年々卒業旅行に行く人は増えているようだ。男女別では、男性は58%、女性は70%が卒業旅行に行っており、女性のほうが男性よりも多い。

 そもそも、卒業旅行とは、いつごろから定着したのだろうか。同調査では50歳代、40歳代の女性が「私が学生のころには卒業旅行なんて言葉はなかった!」と発言しているが、38歳の私が大学に籍を置いていたころ(1991年)には確かに、そのようなものがあった。ちょうど狂騒的なバブル崩壊前夜のころで、やはり狂騒的だった学生たちは、パリだ!ローマだ!!バルセロナだ!!!と卒業間近にして騒いでいた。

 さまざまな人に聞き取り調査をしたところ、どうやら1980年代ごろから定着し始めたようだ。旅行会社もそれに合わせて「卒業記念旅行」といった商品を展開し始める。

 1980年代後半の就職活動は超売り手市場だった。それに加えて、「会社に勤めると、旅行もそうそう簡単に行けなくなるから、国際感覚を養うために海外に旅行して来い!」と大人たちが声高に叫んでいたことも追い風になって、2週間ほどかけて欧米を旅行する学生が多かった。

 あれから時代は大きく変わった。不況による就職難や、親世代のリストラの嵐、世界各地で発生したテロ、SARS、自然災害など、さまざまな社会的な影響を受けながら、卒業旅行の考え方やスタイルや方面も、その時代背景に合わせて変化してきたのだろうが、いまだ卒業旅行という言葉は根強く残っているし、卒業旅行に行く比率は、先の調査を見る限り、近年さらに高まっているようだ。

 しかし、不思議なことに私の周りの編集部員(年代もバラバラ)は、旅行にどっぷり浸かった仕事に関わりながら、ほとんど卒業旅行には行っていない。

 同調査によると、卒業旅行の行き先では、1位が関東(東京含む)、2位が関西で、九州、北海道と国内が続き、5位にようやく海外のヨーロッパがランクインする。全体では国内7割、海外3割となったが、バブル期と重なる30歳代は海外比率が4割を超えている。

 また、卒業旅行の予算をみると、約半数が「5万円未満」。一方、20万円以上も11%と、ピンからキリだ。人数では、4人以上のグループが53%を占めており、仲のよいグループが修学旅行のノリで楽しく旅行するというスタイルが、何といっても一番人気があるようだ。次いで「2人」が23%。そして「1人旅」は8%に過ぎない。

 海外旅行大手のHISは、自社ホームページに学生旅行人気ランキングを掲載している。海外ツアーの人気ランキングは1)グアム 2)バリ島 3)ホノルル 4)ミラノ 5)バンコク――の順。海外航空券では 1)バンコク 2)パリ 3)ローマ 4)ニューヨーク 5)ロンドン――となっている。寒い季節の折、ツアーは南国リゾート系が人気上位を占めている。航空券は、2月などはオフシーズンで格安航空券が出回るため、ヨーロッパ方面の割安な航空券を入手して、自分たちの興味のある旅行をつくる学生も多く見られる。

 需要の閑散期である旅行会社が、暇はあるけどお金がない学生をターゲットにするからには、やはり価格で誘う常套手段が有効か――。

 JTBの学生向け海外パッケージツアー「ガクタビ」での目玉商品は、ロンドン7日間、パリ7日間、ローマ7日間が7万7700円という「トリプルセブン」だ。グアム4日間、ソウル3日間が1万9800円など、価格面で学生の卒業旅行を支援する。

 一方、最近は個性派やユニークツアーもたくさん出てきたのが特徴だ。マチュピチュやチベット、チュニジア、モロッコ、ドバイなど、ひと味違った地域へのツアーも新たに企画している。「アメリカの大自然をバスで2500キロ爆走するバス旅」やパンダの飼育ボランティアができるツアーなど、内容をさらに一歩踏み込んだ「体験型ツアー」も人気で、各旅行会社はさまざまなアイデアを凝らしたプランを企画している。

 「地球の歩き方」では、「1人でも、初めてでも、楽しくて、一生ものの出会いと感動」と謳い、海外ボランティア体験を組み込んだツアーを企画している。
「カンボジア交流活動8日間『スナーダイ・クマエ孤児院』を訪ねて」では、身寄りのない子供たちの自立教育支援を行う孤児院で、ボランティア体験をする内容となっている。

 仲間たちとのハチャメチャ宴会旅行とは、また違う意味で、心に残る旅になるかもしれない。

 

【関連情報】

○gooランキング 卒業旅行で行ってみたかった旅行先ランキング 2007/12
http://ranking.goo.ne.jp/ranking/011/graduation_travel/


○あみのタジーのポッドキャスト冒険ブログ
 「フィリピンボランティアツアー(交流編)」2007/10/13
http://amino-tajee.com/2007/10/visiting_manila_for_charitycom.php


○memorandum  2007/07/27
 「体験型ツアーに助成金 旅行会社と提携視野 国交省」
http://d.hatena.ne.jp/ae0800/20070727/1185522589


○ ORICON STYLE  2007/03/08
 「卒業式、先生が言った胸に残る感動的な言葉」
http://contents.oricon.co.jp/news/ranking/42765/


○マー坊君の映画ぶろぐ「卒業旅行 ニホンから来ました」2005/05/17
 「ペッパー警部」「ヤングマンYMCA」など往年のヒット曲を歌い踊る
 織田裕二は何故かカッコイイ。
http://tutu2-prf.blog.drecom.jp/archive/92


○Friends Forever Music Video -Vitamin C(YouTube映像 04:52)
http://www.youtube.com/watch?v=FWitXo2sgJ0


○高等学校の部 課題曲 『言葉にすれば』(混声四部合唱)YouTube映像 04:48
   ゴスペラーズ・松下 耕 共同制作
http://www.youtube.com/watch?v=lcFGaTPpcqk&feature=related


○合唱曲 「地平線のかなたへ」より「春に」(YouTube映像 04:14)
 作詞:谷川俊太郎  作曲:木下牧子
http://www.youtube.com/watch?v=Rs-DcjxwLr0&feature=related


○卒業写真 松任谷由実 Covered By Miko(YouTube 04:03)
http://www.youtube.com/watch?v=rJDYZLHPSKs&feature=related

 

 

 


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