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Webサービス「tumblr(タンブラー)」という情報フィルター(by いしたにまさき)

この記事が公開される頃にはどういうことになっているかわかりませんが、マイクロソフトによるYahoo!の買収が公のものとなりました。もちろん、これはますます拡大を続けるGoogleに対抗する手段です。

では、この買収劇はなにを意味しているのでしょう。

ネットがここまでの規模になる以前、情報というなんだかわからないものを扱う術として、大きく2つのものに価値がありました。

  ・人よりも先に知っていること
  ・人よりも調べる方法をもっていること

これは、もちろん今でも価値がないわけではありません。でも、この価値が通用する範囲というのは、どんどん小さくなってきています。それはWikipediaやブログのサンプルをいちいち参照するまでもありません。ある程度の情報については、誰にとっても等しく開かれた状態で公開されており、それにアクセスすることに対しても機会は均等に与えられているからです。

しかし、この状況もいつまでもそのまま進んで行くかどうかはわかりません。

参照: title 「Public space(Google) VS Private spaces(MS,Facebook)
           ─アンカテ(Uncategorizable Blog)
http://d.hatena.ne.jp/essa/20080210/p1

“Facebookの急成長とマイクロソフトのYahoo買収宣言は、グーグルの歴史の中で一つの分水嶺になると思う。そう考えると、(偶然だと思うけど)ちょうどこの時期に、Open Social APIが発表されたことの意義は大きい。つまり、これは、WEBというpublic spaceを便利にする人(グーグル)と、private spaceを便利にする人(Facebookとマイクロソフト)が正面衝突したということだ。

上記の「正面衝突」というのは、まさに正面衝突であり、ネットの今後の状況をある意味左右することになるかもしれません。

ただ、マイクロソフトがYahoo!を買収しようとしまいと、FacebookやOpen Social
APIがどうなっていこうと、どんどんネットは拡張を続けるでしょう。そして、今回の買収劇に象徴されるようなパワーバランス、ネットの情報の再構成といったことは、この先も何度となく行われて行くでしょう。

だから、別になんだっていいのです。そのときの主流になったものや自分の生活にフィットするものを選択していけばいいだけのことです。

実は、それよりも大事な問題は、システムに左右されずに(たまにはされたりして)そのシステムをどうやって利用するか? ということなのです。

システムを利用する際に、いちばん役に立つのは、個人にひもづいたフィルターです。mixiだって、そうでしょう。どういうシステムかということよりも、そこに誰がいるか? ということの方がはるかに大事なわけです。この場合、マイミク=あなたのフィルターです。

ただし、情報のフィルターというのは、別にマイミクの様に、人格に結びついているわけではありません。普段はあんまり仲良くないんだけど、たまに本を紹介してもらうといい本を紹介してくれる友人なんていませんか? その場合、その友人はあなたにとって価値のあるフィルターとなっているのです。

情報流通の担い手になっているのは、今のネットではこのフィルターそのものであると私は考えています。そう考えると、今もっとも個人のフィルターを純化した形で提供してくれるtumblrというのは、この上のないWebサービスのように思えるのです。

http://www.tumblr.com/


tumblrのフィルタリング効果のすごさというのは、外から見ていてもわかりません。ログインしてdashboardからtumblrを体験することが必要です。だから、まだtumblrを体験していない人には、まずはtumblrを体験して欲しいというのが、この記事の突然ですが、趣旨です。

なお、この連載については元ネタとなるネットの事象を今回紹介したtumblrのGroup機能を使って、公開しています。ご興味のある方はご覧になるだけではなく、ぜひtumblrにユーザー登録して「+Follow」してください。
URL:http://mediasabor-mitaimon.tumblr.com/


 


【編集部ピックアップ関連情報】

○gihyo.jp 新春特別企画・2008年を展望する! (中野宗) 2008/01/10
 「2007年のWebサービス:twitterとtumblrがユーザーを虜にした理由」
http://gihyo.jp/lifestyle/feature/01/2008/0002


○GoTheDistance  2008/01/24
 企業内のコミュニケーションツールには「ミニブログ」が最適だと思う
http://d.hatena.ne.jp/gothedistance/20080124/1201106796


○北の大地から送る物欲日記 「Tumblrの可能性と問題点と」2008/01/15
 ウェブ時代の著作権のあり方は、権利者側とユーザー側、両方の利益を
 考えて両者で作り上げていくものだと考えています。そのためには、
 どういうルールがあればいいか、どこまでなら互いに譲歩できるのかを
 互いに探り合っていかなくてはなりません。そんな実験場として、
 Tumblrでの動向は非常に興味深く、今後も権利者側、ユーザー側両方の
 視点を観察し続けたいところです。
http://d.hatena.ne.jp/hejihogu/20080115/p3


○POLAR BEAR BLOG 「Twitter > Blog」論 2007/12/03
 ちょっと大げさですが、確かに書くよりも話すほうがラクですから、
 コミュニケーションのスタイルが「話す」に近いものに帰っていくのは
 自然なことなのでしょう。だとすれば、ブログ(僕はブログも十分「会話」
 に近いスタイルで行われるメディアだと思いますが)からSNSへ、
 ミニブログへ、SBMのコメントへ――とより「話す感覚の
 コミュニケーション/ツール」へと流れていくのも当然なのかもしれません。
 もちろんそれによって「ブログが死に絶える」「ブログは劣ったメディアだ」
 ということにはならないでしょう。
http://akihitok.typepad.jp/blog/2007/12/twitter_blog_23d9.html


○CNET  2007/09/25
 「もっと軽くやっていけるマイクロブログ:注目のサービス10選」
http://japan.cnet.com/column/rwweb/story/0,2000090739,20356849,00.htm


○なつみかん@はてな 「Tumblr はじめてガイド」2007/09/16
http://d.hatena.ne.jp/acqua_alta/20070916/tumblr


○creazy photograph 2007/10/16
 「ミニブログ(Twitter,Tumblr,Jaiku)をRSSアグリゲータとして使い倒す」
http://creazy.net/2007/10/microblog_as_aggregator.html


○Screencast of Tumblr(YouTube映像 04:46)
http://www.youtube.com/watch?v=Te8p6hASiis&feature=related

 

 


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