インドで活況、多様化を呈すホロスコープ・占星術関連ビジネス
- インド在住ジャーナリスト
インド人は占星術を、大変重要なものとして考えている。日本のように、「女子供がやたら好きなもの」、「占いで将来を決めるなんて、オマエ、大丈夫?」「え?うそ!彼の親が占いの結果を気にして、結婚に猛反対?信じられない!」的イメージはいっさいない。
それどころか、人生の重大な決定事項は、ホロスコープに則ってこそ決めるべきだ、という風潮だ。つまり「人の人生はホロスコープで大筋は出ているのだから、それに従っていれば、無駄な努力や、無駄な回り道は避けられる。経験の浅い頭で間違いを犯すよりも、星の位置で既にわかっているデータをもとに効率よく生きるべきだ」という考え方なのである。
自分で考えて行動しなさいと、徹底的に教育されてきた身としては、目からウロコ的な割り切り方だ。「失敗から学ぶ」ということを尊いことと見なす文化で育ち、「若者は失敗してこそ」とまで言われてきた私としては、「自分の未熟な頭で考えて失敗するなんて、非効率」「失敗は無駄だ」と考える価値観の存在に、世界が広い事を知らされたものである。
インド人は、まず子供が生まれると、すぐさま専門家のもとへ赴き、その子のホロスコープを細かく割り出してもらう。これがなければ、何も始まらないというくらいに重要な最初の一歩である。すると、なにやら星の位置関係を表す図面のようなものが作成され、あらゆる細かいデータが算出されるのだ。
そして、その子の名前の頭文字に来るべきアルファベットも割り出され、それによって名づけがなされるのが普通である。算出されるデータは、専門家でなければ到底理解の出来ない、膨大な数字や、専門用語に満ちており、それだけ見ても、素人にはわからない。
結婚相手も、両者がホロスコープ的に相応しくない場合には破談になるのが普通であり、ホロスコープが合っている相手と結婚すれば、不思議なほどうまくいくというのが、インドでは当たり前の通念だ。
生まれる子供も、ホロスコープの合わない両者から生まれた子供は、心身に何かしらの弱点を持って生まれやすく、性格的にも極端で不安定な子供が生まれると考えられており、優秀で安定した精神を持つ子供を授かるには、ホロスコープにマッチした2人が子供を作るべきだと考えられている。よって、やたら反骨精神に満ちた反抗的な人物などに対しては、私たちは「育った環境」のせいにすることが多いが、インドの場合は「そもそも、正しい結婚(つまりホロスコープを見極めた結婚)ではない両親から生まれたから、彼の中で諸要素が調和していないのだ」とささやく人が、よくいるくらいだ。
インドでは誕生時以外にも、結婚などの人生の重大な転機があるごとに、その都度、ホロスコープを割り出すのが普通だが、最近は、このホロスコープの割り出しが完全コンピュータ化されていっている動きがある。
オンラインホロスコープ算出サービスも大盛況のようで、結婚相手を見つけ出す「結婚相手募集サイト」(http://mediasabor.jp/2008/04/post_372.html)がコンピュータホロスコープ割り出しサービスを併設する例も急増中だ。
というのも、インド占星術というのは、非常にコンピューターと相性がよいのである。例えば占いであっても、その人に直接会ってオーラを見なければとか、霊視とか、そういった感覚的なものもあるが、インド占星術は、あくまでも「算出する」ものなのだ。つまり、世に言う「科学的」なものの極みであり、コンピューター化に最も相応しいと言って過言ではない。
インド人は、非常に左脳的能力に優れ、論理的な考え方が得意だといわれるが、占星術は、まさにインド人の頭脳の賜物のようなものであるらしい。よって、「コンピューターで割り出せるものなんて、そんな占い、信憑性あるの?」などと言うどころか、その正反対、コンピューターでこそ最も確かなデータが得られる、というのが通念だ。
現在では、多数のオンラインホロスコープ割り出しサービスが盛況で、それに付随するビジネスにもどんどん繋がっているようである。結婚相手探しサイトもしかりだが、その他、インド人がホロスコープをもとに自分の身を守るために身に着けるジュエリー販売、家を建てるときに割り出すインド版風水(これも、占星術で割り出すらしい)や、出張ブーミープージャ(土地供養)サービスなどなど。これらは、インドでは大真面目なホロスコープ割り出しサービス同様に、大真面目なホロスコープ関連のビジネスなのだ。コンピューターのような頭脳を持つインド人の、オンラインビジネスの先駆は、なんと占星術だったりするのである。
【編集部ピックアップ関連情報】
○真・織花夢-アロマとカーマ☆旅と占術
「驚き!インド占星術-印度レポ--星編」 2007/12/20
日本とかでは占いなんていうと、女子供の信じる、恋のまじないみたいな
もんだろ?っていう風潮がありますが、インドではそれが真逆。
オヤジ達がチャイのみながら、「俺の守護星は太陽だから、ダイヤリングを
オーダーメードしたんだ」みたいな、そういう世界観なんですね。
http://mikura3.seesaa.net/article/73723267.html
○ITmedia News 2006/12/14
「交通事故を起こす意外な要因は……」
InsuranceHotline.comの調査では、年齢よりも星座の方が交通違反や事故に
大きく影響すると示された。ワーストドライバーはどの星座?
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0612/14/news027.html
○嫁して20年、私のインドの生活 「インド占星術。その3.」2006/11/18
占星術というのは、ただ単に良いとか、悪いとか聞いて一喜一憂するために
あるのではなく、人間としての人生をうまく乗り切るための、指針を示して
くれるもの、また、『私は何か?』という、気付きを促してくれる、
神様からの案内書なのではないだろうか。
http://blogs.yahoo.co.jp/nehaa617/23901665.html
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