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LEGO(レゴ)--半世紀を経て今なお人気、デンマーク生まれのスーパー玩具

初雪も舞い降りて、今年も心躍るデンマークのクリスマス、Jul(ユール)のシーズンが近づいてきた。子供たちはJulemand(ユールマン。=サンタクロース)にどんなプレゼントをお願いしようか、ソワソワしはじめている。

毎年、めまぐるしく新しい流行のおもちゃが誕生する中、デンマークでいつも人気トップ3に入るのは、日本でもおなじみの“LEGO”レゴのシリーズだ。1958年に、レゴ社二代目のゴッドフレッド・キアク・クリスチャンセンが、レゴブロックを完成させてから半世紀。そして今年30周年を迎えた人型のミニフィギュア“MINIMAN”。 世界最大の英文ビジネス紙フォーチュン・マガジンで「20世紀最高の玩具」に選ばれ、今も世界中の子供だけでなく、大人をも夢中にさせるレゴとその人気の秘密に迫ってみたい。

私自身、子供の頃からレゴで遊ぶのが大好きだった。レゴ“ブロック”という名の通り、レンガのように組み立て、観音開きの窓を取り付けた家を作っては「へぇー、外国の家ってこういう窓なんだ! それに、窓やドアが本当に開け閉めできる!」などと子供心に感心し、こんな家に住んでみたいとワクワクしたものだ。まさかあの頃は、レゴの生まれ故郷であるデンマークに移り住もうとは思ってもいなかったが。(それに、当時はレゴがデンマークからやってきたとは知らなかった…)

それから、しばらくして“MINIMAN”が登場する。黄色い顔に不思議な形の手、それに突っ張った足。シンプルだけど、なんだかかわいい彼らの表情に無条件になごんでしまうのは私だけではないだろう。そんなパーツ4つ分の身長しかない小さな彼/彼女も1978年の誕生以来、世界中に存在する数はなんと40億強、文句なしに世界最大の人口規模を誇る。そして、毎日、世界中で1秒間に3.9個の“MINIMAN”が販売され、年平均では1億2200万個が売られていることになる。そして、これまで30年間で発売された“MINIMAN”で、8千兆(!?)を超える組み合わせが可能なのである。

“MINIMAN”の開発は、遡ること1973年には始まっていた。前述のゴッドフレッド・キアクがレゴの世界を広げるため、社のデザイナーに50を超えるプロトタイプを作らせ、その中から選ばれたひとつが“MINIMAN”である。同時にレゴ社は街、ビルディング、城シリーズなどを開発し、世界中の子供たちにリアルな遊びの体験を提供してきた。

最初に発売された“MINIMAN”はおまわりさん。その後、消防士、看護士、宇宙飛行士、中世の騎士などが次々と登場した。過去30年間で一番多く販売されてきたのは、やはりおまわりさんで、これまで41バージョンが104種類のセットとして販売されてきた。

あれから何十年か経って、私にも息子が生まれ、彼が物心ついた時にはもうわが家にたくさんのレゴがあった。息子は小さな手で、ゾウの形や大きなボッチのついたブロックを合わせたり、はずしたりを飽きもせず繰り返していた。

わが家のレゴは、親戚や友人のお下がりをもらったものであったり、プレゼントだったりして、新製品と昔の製品が混ざっている。それでも、何年も前に買ったレゴと最近のレゴは何の問題もなく組み合わせて遊ぶことができるし、そうすることによって、作るモノのオリジナリティーもより豊かになる。リサイクルが大好きで、モノを大切にするデンマーク人ならではの発想だと思うし、男女の区別なく、幅広い年齢層が長い間、その好奇心を満たせるような品質と耐久性、普遍性、テーマ性、工夫を、半世紀もの間、真摯に求め続けてきたレゴ社は、とても先見の明がある企業と言えるだろう。

息子が森の幼稚園に行った3年間は外遊びに夢中で、レゴのことはしばらく忘れていた様子だったが、学校に行き始めると「レゴ熱」が再燃。学校の教室に、教材としてレゴが置いてあり、放課後の学童クラブにもたくさんの種類が揃えてあって、ますますレゴでの創作意欲は増すばかり。アルファベットを形作って名前を描いてみたり、宇宙船を作ったり、基地を作ったりして、彼の頭の中でどんどん物語が広がっていくのがわかる。「ママ、一緒に作ろう!」と誘われ、時にしぶしぶ参加するが、気がつくと息子よりムキになってかっこいい宇宙船づくりに励む私がいる。遊び始めると、いつの間にか熱中して、次々にアイデアが浮かび、ついつい夢中になってしまうのだ。

また、学童クラブにはプレイステーションの「レゴ・スターウォーズ」シリーズや「レゴ・インディー・ジョーンズ」もあり、時間を決めて遊べるようになっている。これで、息子はスターウォーズに目覚め、オリジナルの映画にも興味を示し、レゴブロックでもスターウォーズの世界を再現しようと創作活動に余念がない。今までいつも手元にいた“MINIMAN”が、画面の中に忠実に再現されたアドベンチャーの中で、しなやかに、イキイキと動き回る姿は、スターウォーズ・ファンの夫にとってもたまらないらしく、週末は家族みんなで盛り上がっている。こうした2作品以外にも、ハリー・ポッターやスパイダーマン、バットマンなど、長く愛され続けている映画のシリーズをレゴとして商品化し、同時にゲーム分野にも進出して相互がリンクしていることも、ファンを飽きさせず、また新たなファンを獲得し続けることに大いに役立っていると言えるだろう。

今年、イギリスのメールオーダー会社Argos(アーゴス)が行ったアンケート調査では、これまでに購入した玩具の中でレゴが一番満足という結果が、日刊紙デーリー・テレグラフで紹介されていたそうだ。人気の衰えを知らないレゴは、今年もまた、サンタクロースによって世界中のたくさんの子供たちに届けられることになるだろう。実は私も、来年まとまった休みが取れたら、ヘリコプターなどの大作に挑戦してみたいと、密かなる野望を抱いている。大人だって、いくつになってもレゴしたいのだ。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○DesignWorks  2008-11-18
 レゴで制作されたセキュアな金庫「NXT SAFE - THE ULTIMATE SAFE」
  ブロックで作られたといってもかなりの仕掛が施されており、
 305,000,000,000通りの電子コードロックが掛かっていたり、動かすと
 警告アラームが鳴る仕組みが施されていたりと、高い安全性を
 実現しています。
http://designwork-s.com/article/109856509.html


○ライフハッカー 2008-07-14
 「レゴ・デジタル・デザイナーで最高傑作を作ろう!」
  選べるブロックタイプはなんと763種類以上。この段階ですでに、通常の
 レゴキットの限界をはるかに上回っているんですねー。
http://www.lifehacker.jp/2008/07/post_9.html


○GIGAZINE  2007/12/03
 「レゴで作られたとてもリアルなオブジェの写真いろいろ」
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20071203_lego_art/


○GIZMODO Japan  2008-02-01
 [レゴ50周年特別企画]史上最高のレゴセット完全写真集
 ネット最大のレゴ情報データベース「Lugnet」から人気の229セットを厳選。
http://www.gizmodo.jp/2008/02/50_4.html

 

 


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