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母校に錦を飾った「ジューシークチュール」 --不況って何?

(記事要約)

2003年大手アパレルLiz Claiborne, Inc(リズクレイボーン社)によって買収されたJuicy Couture(ジューシークチュール:http://www.juicycouture.com/)。高級なベルベットのトラックスーツの販売で、売上高50ミリオンドル(48億円)だったビジネスは、この5年で世界に60カ所のオンリーショップを持ち、500ミリオンドル(480億円)を稼ぎ出す一大ブランドへと変貌した。

11月6日にオープンした、ニューヨークのマンハッタン5番街にできたJuicy Coutureのフラッグシップショップのオープンは、Liz Claiborne社にとって大きな挑戦だといえる。というのも、同社は10月の下半期の決算で、大きく数字を落とし、今後の新規ショップオープンを見合わせると発表したばかり。Juicy Coutureのような、グラマラスで、派手やかさを売りにするロゴブランドは、消費者の興味から離れてきているのではないか。

しかし新店オープンに登場した、2人の創設者パメラ・スカイスト=レビーとジェラ・ナッシュ=テイラーは、「Juicy Coutureこそ、この不況の時代にも、消費者を幸せな気分にしてあげられる」と唱える。

http://blogs.wsj.com/runway/2008/11/07/juicy-coutures-decadent-chic-recession-what-recession/


(解説)

11月12日(水)、ロサンゼルスのダウンタウンにあるファッション学校、Fashion Institute of Design and Merchandising (FIDM)に、卒業生で、今や大ブランドに成長したJuicy Coutureの創設者、パメラ・スカイスト=レビーが、パートナーのジェラ・ナッシュ=テイラーと共に登場した。理由はFIDM学内にJuicy Coutureのコンセプトを表した壁、デディケーション・ウォールの落成式出席のためだ。35年の歴史を誇る同校にとって、開校当初の学生であった、パメラの成功は、FIDMのその後の発展に、非常に大きな影響を及ぼしたと評価された。


Pamela & Gela                                      写真提供:FIDM


そもそもJuicy Coutureは、FIDM卒業後にコスチュームデザイナーとして活動していたパメラが、当時女優だった友人のジェラと共に、元手$200ではじめたビジネスだ。1988年「Travis Jeans」という、デニムラインのデザインとともに、妊婦たちのための服を作り始めた二人だが、大々的な成功はしていなかった。

その後、1996年に本格的にファッションコレクションとして、カラフルで、楽しい雰囲気一杯のトラックスーツを発表するJuicy Coutureを立ち上げた。そして、歌手のマドンナに、「Madge」と刺繍を施したトラックスーツを贈呈したところ、彼女がパパラッチの前でそれを着て登場。Juicy Coutureは、一躍人気ブランドにのし上がった。

彼女たち2人がこの不況下の中でも動じない理由はいくつかあると考えられる。まずは創設当時、「本当にお金がなかった」と本人たちが口にするほど、底辺からのし上がったという 1)ハングリー精神の持ち主であること。 2)Liz Claiborn社という後ろ盾があること。そして現在も 3)生産の60%を海外に頼らず、国産にしていることで、「Made In USA」というプレミアを保っていること、である。

実のところ、Juicy Coutureの実力を、当初誰もが疑っていた。

Amazingly this brand has survived during an economy's downfall.
(驚いたことに、このブランドは不況下でも生き残っている)

The growth of the Juicy Couture line has grown well beyond what many fashion experts in the industry could have ever expected.
(ジューシークチュールの成長は、ファッション業界の人々の想像を遥かに超えている)

Juicy is, by far, the most profitable of the 25 Liz Claiborne brands
(ジューシーは、25あるLiz Claiborne社のブランドで最も利益率の高いブランドだ)

しかし、様々な媒体が驚きつつも、次第に同ブランドのビジネス面での強さを評価しはじめた。

Juicy Coutureを支える顧客層は幅広く、10歳の女の子から、デザイナーであるパメラ(45歳)と同年代のミッシー世代まで、Juicy Coutureが提案する「グラマラスで、楽しい世界観」に共感した女性たちである。トラックスーツで上代300ドルを越える価格帯に物怖じせず購買していく彼女たちの忠誠心は固いようだ。
 
アイコンとなった、ベロアの派手なトラックスーツだが、質の高いコットン/ポリのベロアを使用。「Made in the Glamorous U.S.A.」や、「I’m a Juicy Girl」といったスローガンを織り交ぜたアパレルコレクションは、今や靴、バッグ、サングラス、キッズやメンズコレクションなど、「Juicyの世界」へと発展。Juicyフリークたちへ提供し続けている。

ブランドを支えたハリウッドやファッショニスタたちからは、トレンドの舞台から散ったかに見える同ブランドだが、実利益を追求するビジネス面では不況知らず。今がまさに満開のようだ。


【編集部ピックアップ関連情報】

○Welcome to Glamorous, U.S.A. Only from Juicy Couture(YouTube 04:22)
http://jp.youtube.com/watch?v=KClh515LFis&feature=related

 

 


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