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盛り上がりを見せる台湾のオーガニック市場


オーガニックの産業を世界的に見ると、商品の売り上げなど市場が大きい国はアメリカをはじめ、ドイツ、フランス、イギリスなどがあげられます。一方、オーガニック自体を生産する耕地面積が広いのはオーストラリア、アルゼンチン、ブラジルなど。全体のバランスをみると南半球で生産したものを北半球の先進国が消費するという傾向にあるようです。

アジアでは日本がダントツに大きい市場を持っていますが、近年は中国が加速度を上げて耕地を拡大し、消費率の高いヨーロッパ諸国に輸出していることが注目されています。以前はトップ5に入ることもなかった中国が現在ではなぜ世界二位の耕地面積を持つ国となったのか・・・

一番大きな理由としては、国策で5ヵ年計画を掲げ、オーガニック耕地面積の拡大について、目標数字まで一気に達成することを目指したからだと言われています。また北京、上海、天津などの大都市には、ウォルマートをはじめとするアメリカ資本の大型デパートが多く進出していて、売り場にオーガニックセクションが設けられ商品もわかりやすく配列されているとか。

とはいえ、オーガニックの生産量は多くても一部の生活者のなかでしかオーガニック自体の存在や定義は認知されておらず、まだまだ国内消費率は低いようです。そんななか、アジアでもオーガニックの普及率及び市場を順調に伸ばしているのが台湾。特に2000年以降に需要が増え2005年の統計では国内消費がUS$60million、そのうち半数は他国からの輸入です。

台湾は路上の屋台や夜市が有名なことから、肉や麺を使った料理をイメージすることが多いのですが、宗教上の理由から肉や魚を食べないベジタリアン(台湾では素食という)も存在します。近年は健康のことも考え素食を主とする人たちが増え、それに伴ない野菜などの素材の質にこだわる傾向が強くなりオーガニックを好んで手に取る消費者が増えてきたそうです。豆腐食材やグルテンなどを用い、見た目や食感を肉や魚に見立てた料理が流行りだしたのもそんな人々の食の嗜好からでしょう。



2006年にスタートしたInternational Organic Fashion and Lifestyle Exposition。オーガニックとロハスをテーマとしたこの展示会は、1000近くの国際企業と100以上の国々が参加しています。昨年2007年は私自身も「日本のオーガニック市場の現状と今後の可能性」の講演でご招待いただきましたが、会場の広さも規模も日本で毎年開催される「オーガニックexpo」と同等といえます。



食品だけに限らず衣類、スキンケア、書籍など幅広い商品群で人々の熱気にも圧倒されました。特徴としては石鹸やコスメなどスキンケア商品はそのほとんどがヨーロッパのブランドのもの。加工食品は日本から。興味深いのは、たとえ台湾のオリジナル商品であっても、そのパッケージや裏面の表示は日本語で書かれたものがとても多いこと。日本語表記にすることによって日本製だと思わせることが、その商品自体の価値やイメージアップにつながるのだとか。不自然な日本語の表現や言いまわしのステッカーやパッケージを見るとすぐにそれだとわかります。






展示会に出展していた日本のオーガニック加工品メーカーの方にお話を伺ったところ、商品を台湾に輸出すると、最初の数年はいいがそれ以降は同じもの、もしくは類似品を無許可で開発し、商品化して輸入をストップしてしまうケースが多いのだとか。結局、よく耳にする話ですが、日本の立場としては商品の材料や加工などの情報提供をしてあげているようなもので、先の長い本当のビジネスとしては到底見込めないことがほとんどだそうです。

企業にとって情報や技術は宝ですから、それをたった数年の付き合いだけでそっくり真似されてしまうのでは理想的なビジネス関係を築くのは確かに難しいでしょう。

そんななか日本にてオーガニックハーブとアロマセラピー商品で有名なブランド「生活の木」は2007年5月12日、海外1号店として台湾高雄にショップをオープンしました。自然・健康・楽しさをテーマにハーブやアロマを使ったライフスタイル提案を行っています。商品の販売だけでなく、ハーブの効能の取り入れ方やそれらを学び伝える文化も一緒に提唱していくのがこの企業の特徴。今後、台湾の人々にどう受け入れられるのか楽しみです。

台湾(特に台北)では菜食者のためのスーパーや小売店が各所に見られ、ここでは商品の販売と同時に、料理教室や食の勉強会などが定期的に行われているようです。日本の有機JASマークがついた商品も多く見られるほか、豆板醤など、その国ならではの調味料がオーガニックでできているものなどもありました。

今年もまた9月の展示会で台湾に足を運ぶことになります。同じアジアの国として全く違う市場の動きを見せる台湾のオーガニック。今後の発展と動向に注目の価値ありです。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○MediaSabor  2008/01/15
 ビーガン(完全菜食主義者)天国! 台湾で見つけた菜食・精進料理「台湾素食」
http://mediasabor.jp/2008/01/post_304.html


○全国の「生活の木」SHOP
http://www.treeoflife.co.jp/shoping/index.html


○健康はナチュラルな空間からブログ  2008/04/29
 「食べそこなった台湾ベジタリアン=素食を家で作ってみた」
 素食とは「ベジタリアン料理」のことで、台北には沢山のレストランや
 屋台まで存在することを知りました。「台湾素食」というガイドブックも
 あるくらいです。
http://plaza.rakuten.co.jp/nhdshop/diary/200804290000/


○memo & chitchat 2008/04/05
 台湾北部_007「茶芸館&オーガニック料理」(台北・永康街)
 永康街の奥にある、「回留(ホェリョウ)」。
 台湾でも最近はオーガニック食材のお店が増えてきたそうですが、
 ここは先駆け的なオーガニック料理のお店だそうです。
http://mocchimochi.blog.so-net.ne.jp/2008-04-05-5


○ハンドメイドdeつれづれ(日記) 「素食(喬園素菜餐廳)」2008/04/26
http://blog.handmade.moo.jp/?eid=768784

 

 


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