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オーガニック化粧品ブームの勢いが止まらない日本(後編)

前回に引き続きオーガニック化粧品についてご紹介します。

まず日本でも人気の高い2つのブランドにスポットをあてます。
国内でも人気ベスト3にはいる 「Agronatura・アグロナチュラ」
2005年にスタート。このブランドの成功の要因は


Agronatura

▼日本人の嗜好、肌質にあった商品づくりをしている。

▼世界の中でも高い基準を設けている認証団体に商品の認証を受けている。

▼美しく洗練されたパッケージデザイン。

▼薬局、専門売り場でなくお洒落なセレクトショップという新しい販売チャンネルの開拓。

▼もともとはインテリア雑貨をベースとするブランドの強みをPRや販売戦略に活かせる。

▼手ごろな価格設定である。

▼製品情報、生産地、栽培などの情報をHPなどで公開している。

▼トレーサビリティーできることを公表し、自ら詳しい情報提供もしている。

▼イタリアの農家が手作りしているという温かみが商品を通して感じられる。

▼口コミによる来店者が多く、リピート率が高い。

▼メディアに取上げられやすい。


などが挙げられます。2007年には直営店を10店舗構え、売上高は前年比200%(既存店ベース)だったそうです。女性誌をはじめ様々なメディアに取り上げられ、モデルやタレントの方々のお薦め商品、愛用品としても多々紹介されています。


1922年にスイスでスタートした長い歴史を持つ 「WELEDA・ヴェレダ」
こちらも私なりに分析をしてみると・・


WELEDA

▼哲学者シュタイナーの提唱する人智学に基づく製品造りをしている。

▼バイオダイナミック農法(オーガニック農法に天体の力を取り入れる)である。

▼材料を提供してくれる契約農園とはフェアトレードの関係を尊重し、収穫の
  良し悪しに関わらず一定の収入を保証している。

▼会社と従業員の信頼関係、福利厚生などが充実している。

▼新商品の開発に慎重(マーケティング理論の上にない商品作り、研究、品質向上の重視)

▼売れる、売れないのまえに思想に合ったものかどうかで商品造りに着手している。

▼植物のエネルギーを最大限に引き出す技術を持っている。

▼人間が本来持っている自己治癒力を取り戻すことができる、という発想を大切にしている。

▼モデル、美容系ライター、同分野のファンが多い


ということが人気の理由となっているようです。
このように様々な要因でオーガニックを選択している人が増えています。とはいえ、その商品がオーガニックとしての認証を得ていようと、セレブの愛用品というキャッチコピーがあろうと、利用者にとっての基準はあくまでも自分自身の肌。

結局は使用感、効果、香りなど自らの肌と五感が選ぶものです。特にオーガニック認証にこだわる、もしくはその必要性、信頼性に疑問を持つ方々も多いようですが、よく考えると毎日口にする食べもの、オーガニック食品の認証についてもまだまだ認知されていないのが現状。

直接口から体に入るものの安全性に対しても関心や理解が足りていないなか、化粧品に含まれる化学成分が肌を通して自分に与える影響について真剣に目を向ける人がどれだけ潜在的にいるでしょうか。オーガニックのように厳しい規定や基準のもとで生産され、第三者によって認証されたものに価値を見出せないでいる生活者が多いのが現実です。

使い心地やイメージだけでなく、使う人、選ぶ人を納得させ、認証のあるなしにかかわらず長所をどれだけクリアにアピールしていけるかが、既存及び新たに参入してくるオーガニックスキンケア・ブランドの課題となるのではないでしょうか。日本に上陸している数からもわかるようにすでに飽和状態といわれているオーガニック化粧品ブランド。今後も競合が増え続けるでしょう。

末永く愛されるオーガニック化粧品となるためには、まずオーガニックとはそもそもどんなものかをキチンと伝えられること、従来の商品と比較し、違いを伝えられることなどが大切だと感じています。理想はオーガニックコスメを通して健康、自然、環境、未来へのことにも目を向けることができる生活者が育っていくこと。パッケージに表示されない、その商品以上の価値が伝わるようなものづくりをしていきたいものです。

 

【編集部ピックアップ関連情報】

○メディアサボール 2008/09/08
 「オーガニック化粧品ブームの勢いが止まらない日本(前編)」
http://mediasabor.jp/2008/09/post_477.html

 


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