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2007年のオーガニック業界(有機産業)を振り返る

今年最後のコラムとなりました。
今回は2007年の日本とオーガニック産業の先進国であるアメリカの現状、市場の動向について振り返ってみたいと思います。

現在、市場規模、成長率、耕地面積の拡大においてトップを走るアメリカ。オーガニックを取り巻く環境や市場の動向は、ヨーロッパで4─5年前に起きていた現象がそのまま今のアメリカにあてはまると言われています。

以前は専門店や小規模なお店でしか扱われていなかったオーガニック商品。今はスーパーやデパートが素材の流通ルートをどんどん拡大し2005年には約500種類の新商品が生まれ、政府や企業が生産者やオーガニック農業の運営、広報やキャンペーンなどに投資を始めています。

人々のオーガニックに対する理解度をみても約60%の人がオーガニックには規程や基準が存在することを知っていて、約50%の人はオーガニックの表示(マーク)について認識があるというデータが出ています。

ここまでオーガニックが急発展した大きな理由のひとつは、消費者の食や生活に対する意識や価値観、欲求が、オーガニックの持つ利点とうまくシンクロしているからでしょう。オーガニックという産業に携わるあらゆる立場の人々、団体がどんどん情報公開し、消費者を刺激して食や暮らしに対する意識改革に尽力した結果です。

州によってはマクドナルドのコーヒーがオーガニックであったり、野球のスタジアムで販売されるバーガー類の素材がオーガニックになったりと、ユニークな場所でオーガニックが登場しています。

健康志向が高く、教養のある人が選ぶのが「オーガニック」というイメージとして定着している中、そんなコンシャスな人たちは、ただのオーガニックではなく、もう1つ上のランクの「ビオダイナミック、バイオダイナミック」というものを好んで選び、差別化しているようです。

  *ビオダイナミック農法とは、ルドルフ・ シュタイナーという人智学者が提唱した
   農法のことで太陽、月、惑星など宇宙の力まで取りいれ、地球、動植物すべての
   自然との共生を重視し、種まき、苗植え、肥料撒き、収穫などの時期を天体の動きに
   あわせて行うという有機農業(オーガニック農業)のなかでも最高峰として扱われている。


日本でも2006年12月に有機農業推進法が参議院と衆議院で可決され、生産者の支援や技術開発・調査等の促進、消費者の理解と関心の増進などを踏まえたオーガニック農業を推進する基本方針が法律として成立しました。

今年は各地域でどのような施策をとって実行していくべきかを議論し、具体的な取り組みがスタートする予定だったようですが、まだまだ実現までには時間がかかるようで、顕著に変わったことはない様子。この有機農業推進法案の設立の中心人物であるツルネン・マルテイ氏も第21回参院選に全国比例区で出馬し、民主党6位で当選し二期目を務めていらっしゃいます。今後もこの法案をもとにオーガニック業界を盛り上げていってくれることでしょう。

また、今年は食品メーカー17社が統一ブランド「オーガニック・ギルド」を(http://mediasabor.jp/2007/08/post_185.html)を結成し、オリジナル商品の開発や手頃な価格へのアプローチ、入手しやすい環境に商品を流通させるというようにオーガニック業界にとっては冒険的かつ大きな一歩を踏み出しました。そして、トレンドの発信地である表参道にはシナグロ CINAGRO(http://mediasabor.jp/2007/11/_cinagrogyre.html)がオープンし話題を呼びました。

一方で、有機JASマークの不正横行が発覚しJAS認定機関の一斉調査が入る(10月11日日経新聞より)という、消費者にとっては混乱するような出来事も起きました。

そんな中、オーガニック産業でも目立って売り上げを伸ばしている元気な分野は「スキンケアブランド」。オーガニックコスメとも呼ばれる、オーガニックの素材を主原料とした植物性のスキンケアが右肩上がりで売り上げを伸ばしています。環境系のイベントなどの会場ではサンプル提供や試用が行われ、最近、話題になったエコリュクス2007(http://ecoluxe.jp/)では、約20のオーガニックスキンケアブランドが世界中から集まりました。

アトピーやアレルギー、敏感肌などの女性には最後の頼みの綱となるのが「オーガニック」という方も多く、女性だけでなくまだ抵抗力のない無垢な赤ちゃんや子供用の商品も売れているようです。

そのなかでも日本で爆発的ヒットを飛ばし続けているスキンケアブランド「アグロナチュラ Agronatura(http://agronatura.jp/top.html)」は、12月のクリスマス前に合わせ、今までは製造が難しいといわれていたオーガニック植物を主成分としたオードトワレの発売を開始しました。

このブランドはイタリアのピエモンテという地域のハーブ原料の栽培および化粧品・洗剤の研究開発から生産までを一貫して行っているビオリーブス社と提携し、日本人の手によって、日本人の肌に合う商品を開発し市場に出しています。現在では一般の女性だけでなく、アーティストやマスコミ関係者にも多くのファンを持ち、新商品が出るたびに雑誌やWEBで商品が引っ張りだこ。来年も更なる飛躍が期待されています。


次回は2008年のオーガニック分野における展望と岡村貴子の予想をご紹介します。

 

【関連情報】

○Ma Cher(マシェール) 2007/10/21
 「LOHAS(ローハス)」という言葉だけが先行しているのは日本?
http://blog.erry.biz/?eid=318468


○環境カレンダー 365のエコライフ&エコグッズ
 「有機JASマーク」 2007/11/19
http://ecolife2.blog99.fc2.com/blog-entry-233.html


○Agronatura(アグロナチュラ)便り
 「ビオリーブス社 現地レポート」 2007/12/14
http://information.agronatura-store.jp/?eid=106077


○Long vacation 「オーガニックコスメ」2007/07/21
 Agronaturaはイタリア/ピエモンテ州にあるアグロナチュラ農業組合
 (有機栽培原料供給組合)で作られるオーガニックハーブ原料を使い、組合員である
 化粧品会社で、日本人向けに作られた自然派化粧品シリーズ、だそうです。
 良さそうな内容だったのと、日本人向けって所にも惹かれました。髪質って、
 外人とは随分違うと思うから。それに、香りも強くなくデザインも可愛い.
http://grace4.exblog.jp/5937207


○のほほんうさみの明日は明日の風が吹く
 「東京ミッドタウン見て歩記」 2007/05/10
 イタリアの自然派化粧品「アグロナチュラ」、ここが国内初の直営店だそうです。
 手首にぬって香りで癒してくれる「ポケットレメディー」は使ったことが
 ありましたが、界面活性剤を使わずお口に優しいというミントの歯磨き粉と、
 朝摘みのダマスクローズをアルプスの水で蒸留したというローズウォーターを
 買って来ました。
http://usami.tea-nifty.com/blog/2007/05/post_8285.html


○make a pretty-world 2006/12/09
 「アグロナチュラ アントスヘアソープ&コンディショナー」
 普段、すぐ泡立つシャンプーを使ってると何じゃあこりゃ─とお思いになる
 かもしれませんが、とよのかもう慣れました。それでも使い続けられるのは
 香りのせい? 日本にはないハープと柑橘系で爽やかなちょっとスパイシーな
 香りシャンプーするたびに癒されます。泡立たないけど・・
http://pretty.exblog.jp/6165374


○美白と美肌─美白、口コミ情報ネット関連読本&特定保健用食品
 「オーガニックコスメ―美肌力、癒し力の高い安心コスメ」2007/10
 アイシスの基準が万能とは言いませんが、「合成防腐剤・合成香料・合成界面活性剤・
 合成香料不使用」を掲載基準としている点では、より安全な製品を手にしたい方には
 大いに参考になると思います。
http://www.ebtf.net/book/2007/10/post_3.html


○ゆきまるだ 「オーガニックコスメ」 2007/12/02
 最近、オーガニックコスメにすごく興味があります。以前から興味はあったものの、
 今ほど気にかけていた訳でもなく、低刺激の物を使っていたらいいかなーくらい
 でしたが、アイシスが出してる”オーガニックコスメ”という本を書店で見つけて
 自分なりに勉強中です。この本はオーガニックコスメ情報がたくさんあるのでどの
 商品を買おうかってなった時にすごく役立ちます。
http://yukimaruda.blog39.fc2.com/blog-entry-404.html


○山咲千里 公式ブログ 美神伝心 2007/01/04
 「デメター認証を受けたスキンケア」
 ドイツのスキンケアブランド、タウトロッフェンは世界で最初にデメター認証を
 受けたスキンケアブランドです。デメター認証とは、世界でもっとも基準が厳しい
 オーガニック認証のひとつです。
http://allier.weblogs.jp/choose/2007/01/post_61b1.html


○ヨガと私の養生記 「タウトロッフェンのティートリー」2006/10/13
 ドイツ南部のバイエルン地方のこのメーカーは、自然食品店を営む夫婦が自分の
 子供が生まれた時に肌のお手入れをするものが石油化学製のもしかないと分かって、
 薬草学を学んで、農場で園芸をし、そしてベビーバルサムを作ったのが最初。
 植物の栽培法も完全有機栽培のもの、ビオダイナミック農法のもの。使われている
 ひまわり油も化学溶剤を使わない冷圧搾法。植物のエキスも太陽浸出法。
http://yogayojo.exblog.jp/4499219


○にじいろのへびのモノがたり 「オーガニックコットン」2007/04/30
 今回買ったコットンの毛布は、エジプトセケム農園のもの。
 demeterデメターのマークが付いている。ドイツの「厳しい自己管理の
 ビオ・ダイナミック農法を規定通りに実施している農園の生産品や
 加工品に与えられる認証」云々。とにかく、安全安心の一枚なのだ。
http://snakeintherainbow.blog77.fc2.com/blog-entry-153.html

 

 


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