コスプレイヤーを取り巻くビジネスシーン:Vol.1 ─アニメエキスポ(Anime-Expo)2007 現地取材
- 米国在住ジャーナリスト
(記事要約)
─アニメエキスポ2007にて「COSMODE」米国版発行を発表─
日本の英知出版が発行するコスプレ専門誌の代表格「COSMODE(コスモード)」は、6月29日から開催された「アニメエクスポ2007」(ロングビーチにて、7月2日まで開催)にて、ブロッコリーインターナショナルUSAを通じて、米国版をこの秋10月号から発行を予定していることを発表した。内容は、一部日本版の記事翻訳を採用するが、ほとんどはアメリカのコスプレファンに焦点を当てた内容になるとのこと。
6月29日ANIME NEWS NETWORKより
(解説)
毎年7月にカリフォルニア州で開かれる「アニメエクスポ」(http://www.anime-expo.org)は、米国最大のアニメを主題としたコンベンション。1992年より行われているアニメエクスポは、年率29%の割合でその規模は大きくなっており、入場者数約2千名だった92年から、2006年は4万人と入場者数は20倍になっている。
中でもエクスポに参加する若者たちを虜にしているのが「コスプレ」である。アニメエクスポのメインイベントの一つが「マスカレード」と呼ばれるコスチュームコンテスト。
事前に参加登録をしたコスプレイヤーは、舞台でキャラクターに関する寸劇などを演じる。審査員により採点が行われ、受賞者が決められる。審査員はゲストのこともあるが、有名コスプレイヤーが厳しく採点することも多い。
もちろん、コンテストに参加しない人でも、思い思いのキャラクターを表現すべく、オリジナルの衣装に身を包み、会場内を闊歩する。コスプレファンたちに声をかけられると、慣れた様子でポーズを決める。2、3人のグループでキャラクターを演じるものたちもいる。
米国では、ハロウィンの際に仮装をしてパレードをする文化が根付いており、なんとすでに1939年にコスプレコンテストが行われている。もともとスターウォーズのキャラクターや、スパイダーマンなどのアメリカンコミックのキャラクターの仮装が人気だった。
そこへ2000年はじめ、日本で培われた「オタク文化」の延長のコスプレが、日本のアニメとともに、米国に輸入されてきた。その頃からエクスポの入場者数も倍増、キャラクターに成りきって「競うコスプレ」も徐々に人気を増していく。
このような流れから、現在コスプレを取り巻くビジネスシーンも広がりつつある。コスプレイヤーの世界にもプロが登場しているのだ。
コスプレモデルを生業とするメロディー・ゴア(http://www.melodiegore.com)は、「以前は単に衣装を着ているアマチュアを使っていた企業も、私のようにメイクもできて、スタイリングもできるプロのコスプレイヤーを使うことで、企業のブランドイメージをしっかり打ち出せることに気づいたみたい」と語る。
自身のウェブサイトに載せられたポートフォリオ(写真など)をきっかけに、インターネットを通じて仕事の依頼が飛び込んでくる。現在はエアブラシを使用した化粧品を販売する、ニューヨークにある業界向け化粧品ブランド「Obsessive Compulsive Cosmetics (http://www.occmakeup.com) 」からスポンサ−ドされている。またプライベートで日本に遊びに行けば、日本の専門誌からもお声がかかるといった状況だ。
これまでに20誌以上の日米の雑誌に登場し、またファッションショーやイベントでのモデルも行う。メイクも衣装も、携わったプロジェクトでは、ほとんど自前のものを用意するという。彼女によると、ほとんどのコスプレイヤーは、自分で衣装を作成するという。
確かにコスプレを楽しむ人の多くは、自分でコスチュームを作ることに楽しみを感じている。プラモデルを作るように、コスチュームにアイデアを加え、キャラクターとしての完成度をあげる。
エクスポを歩き回ると、驚くほど高度な技術で、武器や鎧を作り上げている少年たちや、手の込んだビーズや刺繍が施されたドレスを着ているコスプレイヤーに出会える。彼らの多くは、地元のファッションディストリクトにある布屋や、JOANN(http://www.joann.com) といった手芸屋に足しげく通う。
しかし所詮服を作る人としてはアマチュア。衣装の一部に専門的な技術が必要な場合は、メロディ・ゴアでさえ、専門業者にオーダーしたり、ファッションデザイン科出身のコスプレイヤーで、フリーランスの縫子をしている仲間に衣装作りを依頼しているそうだ。ここでもプロの手が必要となる。
一方、身近に縫子仲間がいないコスプレ入門者たちや幼いコスプレイヤーは、「ebay」を頻繁に利用しているようだ。既製のドレスなど、確かにコスプレ品のだけでも1500点を越える。(http://search.ebay.com/cosplay-ostume_W0QQssPageNameZWLRS)
こうした中、今回日本のコスプレ専門誌「COSMODE(http://www.cosmode.net) )が米国版の出版に踏み切ったのは興味深い。広告出稿を希望する企業数が、媒体を発行する費用をまかなうだけ集まると見込んでいるようだ。
全米で年間に84のアニメ関連のイベントが開かれている今日、プロ・アマ問わず、コスプレを楽しむ機会は十分にある。それに伴い、必要物資を供給する企業が、まだまだ増えていってもおかしくはない。
■関連情報
○MediaSabor 2007/07/12
「日本を夢見るフランスのコスプレイヤーたち ─ジャパン・エキスポ(Japan Expo)2007 現地取材」
http://mediasabor.jp/2007/07/2007japan_expo_2007.html
○MediaSabor 2007/06/14
「マンガ(漫画)消費大国フランスでコスプレ人気ブレイクの予感」
http://mediasabor.jp/2007/06/post_128.html
○MediaSabor 2007/05/29
「僕らのマエストロ、ゴー・ナガイ(永井豪)がやってきた」
http://mediasabor.jp/2007/05/post_112.html
○Akimbo @ Anime Expo 2007(YouTube映像) 01:48
http://www.youtube.com/watch?v=7jPJAlkkfTE
○Akimbo @ Anime Expo 2007: COSPLAY! (YouTube映像) 01:55
http://www.youtube.com/watch?v=d44OECcZ_P8
○Anime Expo 2007 video, cosplay(YouTube映像) 05:58
http://www.youtube.com/watch?v=sc7-VuppqJM
○最新アニメ情報 2007/07/10
アニメ!アニメ!「アニメエキスポ2007 SOS団フォーカスパネルレポート」
http://www.saiani.net/article/47384286.html
○のほほん 「アニメエキスポ2007」 2007/07/04
http://tictacinla.exblog.jp/5796870/
○HINALOG 2.0 2007/06/11
「ミンメイで『萌え』の衝撃を受けた、アメリカの日本アニメ史」
http://www.hinalog.com/blog/2007/06/post_103.html
○ULTIMO SPALPEEN 2007/03/15
「ANIMEやMANGAと違い、どうしてJ-POPはアメリカで成功しないか」
http://willowick.seesaa.net/article/35974117.html
○ULTIMO SPALPEEN 「アメリカでのコスプレ人気傾向」 2005/11/20
http://willowick.seesaa.net/article/9568100.html
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